学術論文 AI リサーチアシスタント(アパラ)についてのお知らせ

2025/11/04

公益社団法人 日本食品科学工学会
監事 久能昌朗・事務局

 

日本食品科学工学会(当学会)は, 学会員の皆様の研究開発活動を支援する新しいオンラインサービスとして, 「学術論文 AI リサーチアシスタント(Academic Papers AI Research Assistant, 略称:APARA/アパラ)」のプロトタイプを構築しました. 当学会では, このアパラについて, 来期初期の本格運用開始を目指し, 本年2025年10月下旬より試験運用を開始しています. このお知らせでは, 本格運用開始を見据えて, アパラ構築の背景, アパラの概要, アパラの展開についてご案内いたします. 

1.アパラ構築の背景

当学会は, 創立以来 71 年にわたり質の高い学術活動にこだわり, 現在, 約10,000報の食品科学工学領域の学術論文アーカイブ(論文アーカイブ)を保有しています.しかしこれまでは, システム上および予算上の制約から, 学会員に対してこのアーカイブを効果的かつ効率的に活用して頂くための対応が十分ではありませんでした.

このような状況を打開する機会となったのが, 最近の優良な生成AIアプリの登場です. 中でも日本において昨年上市されたGoogleのNotebookLMの機能が, 論文アーカイブの活用にマッチしていました. NotebookLMでは, 我々が指定した情報のみを知識源(当学会の場合は論文アーカイブ)としてAIチャットができ, 質を管理された知識源に基づいて回答を得ることができる点がその理由になります. 

2. アパラの概要

アパラは, 当学会が作成した「アパラポータルサイト」をプラットフォームにしており, その背後で論文アーカイブを読み込ませた(収載した)NotebookLMが働く仕組みのツールです. このツールにより, 学会員の皆様に対して, 当学会に蓄積された論文アーカイブを駆使できる研究開発支援サイクルを提供していきます. 

  アパラの目的とゴール  
目的:学会員の研究開発活動の生産性向上への貢献
ゴール:学会員の研究開発活動における必需品化

  アパラに収載した論文アーカイブ(試験運用開始時)  
当学会に蓄積された論文は約10,000報に及びますが, 試験運用開始の段階では, 過去15年分, 2,700報(和文誌1,156報・英文誌1,544報)の論文でアパラを構成しています. 
その際, NotebookLMの機能上の制約から, 和文誌では5つのブロック(NotebookLMではこのブロックのことを「ノートブック」と称しています)に分けて, 
英文誌は7つのブロック(ノートブック)に分けて, それぞれ年代毎に論文アーカイブを収載しています. 

   アパラの主な機能  
本ツールにより学会員の皆様は, 年代毎の論文アーカイブを収載したNotebookLMの各ノートブックにおいて, 収載されているすべての論文の内容を知識源として
AIチャットを行 うことができます. そのチャットを通して, 下記の⑴から⑸に示したようなアパラの機能を享受することができます. 
この際, 和文誌のノートブックであっても, 英文誌のノートブックであっても, 日本語でチャットし, 日本語の回答を得ることが可能です. 
各ノートブックの設定において出力言語を適宜選択すれば, 英語など日本語以外の言語でもチャットすることができます. 

(1) 高度な文献検索・探索
自然言語(会話型の文章)で質問するだけで, 収載されている論文の中から関連性の高い論文、情報を短時間で探し出し, 該当箇所を提示します. 文献調査にかかる時間を大幅に短縮し, 見逃しを防ぎます. 過去の知見へのアクセス性を飛躍的に向上させます. 

(2) 複数論文の横断的分析・要約
複数の論文を指定し, それらに共通する論点, 異なる見解などを要約・比較分析することが可能です. 
研究開発テーマの背景理解, リサーチギャップの特定, 研究の全体像の把握を効率化します. 

(3) 研究アイディア創出支援
収載された論文の知見に基づき, 新たな研究開発テーマ, 既存技術の応用可能性, 異分野技術との組み合わせなどを提案します. 
独創的な研究の着想を支援し, イノベーションを促進します. 

(4) 論文・レポート作成支援
研究計画書や論文の構成案作成, 序論や考察部分のドラフト作成, 参考文献リストの整理などを収載された論文の情報を基にサポートします. 論文作成プロセスを効率化し, 質の高いアウトプット作成を支援します. 

(5) 特定技術・手法の詳細理解
収載された論文に基づき, 特定の実験手技, 分析方法, 理論的背景などを分かりやすく解説します.
若手研究者や学生の学習効率を高め, 専門知識の習得をサポートします. 

 

3. アパラの展開

• 2025年10月下旬より試験運用を開始しており, 12月末まで実施する予定です. 
• 2026年1月から2月にかけて, 試験運用結果に基づいてアパラのあり方, 運用の仕方について吟味してシステムを充実させます.
• 当学会の来年度(2026年3月から)の初期の時点からの本格運用開始を目指します. 

ご案内は以上になりますが, 学会員の皆様には, アパラの本格運用をぜひご期待ください.

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